尾﨑世梨選手(ミキハウス)スペシャルインタビュー(令和7年6月実施)

ページ番号1020352  更新日: 2025年10月17日

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尾﨑 世梨 氏(Ozaki Seri)

任期:2025年6月27日~

写真:尾﨑世梨選手
🄫公益社団法人日本フェンシング協会
競技
フェンシング
種目

サーブル

北区との関係性

北区在住
生年月日

2002年9月22日

所属

株式会社ミキハウス

主な経歴

2022年

世界選手権大会女子サーブル団体 銅メダル(史上初)

アジア選手権大会女子サーブル個人6位 団体銀メダル

シニアワールドカップ(ジョージア)女子サーブル個人 8位

2023年
アジア選手権大会女子サーブル団体 銅メダル
2024年

パリオリンピック女子サーブル団体 銅メダル

2025年

アジア選手大会(インドネシア)女子サーブル団体 金メダル(史上初)

ワールドカップ(ブルガリア)女子サーブル団体 金メダル(史上初)

パリオリンピックについて

尾﨑選手
🄫公益社団法人日本フェンシング協会

 

Q:世界最高峰の舞台オリンピックで銅メダルを獲得した時はどんな気持ちだったのでしょうか。詳しく教えてください。
A:
オリンピックに出るまでの過程で、様々な世界大会に出場し、メダルを獲得してきました。その中でもオリンピックは、一番目標にしていた大会だったので、そこでメダル獲得できたのは特別な気持ちでした。
他の世界大会でメダルを獲得することも、もちろん簡単なことではありませんでしたが「オリンピックには魔物がいる」という言葉があるように、そのような大会で自分の実力を発揮できたのは、いい経験になりましたし、周りからの反応も大きかったです。

Q:選手村やパリオリンピック期間中の生活を教えてください。
A:
私はリザーブ選手としての出場だったので、選手村に泊まることはできませんでした。リザーブ選手はオリンピックの試合に出場して初めてオリンピック選手として認められる感じでした。ですから、私は、会場の近くのホテルに泊まりました。宿舎は他のメンバーと別でしたが、チームメイトとして、一緒に過ごせる時間はできるだけ一緒に過ごし、距離を少しも感じさせないよう心がけていました。練習や食事の時間で積極的にコミュニケーションを取り、試合前には互いの士気を高め合うような時間を設けるようにしていたことが、団体戦でのパフォーマンスにつながったと思います。

Q:尾﨑選手はピンチの時に試合に出る立場で大きなプレッシャーがあると思いますが、どのような気持ちで試合に臨まれますか。
A:
私はパリオリンピックではリザーブでした。フェンシングの団体戦は、45点マッチのゲームを3人で交代しながら戦います。その中で私はピンチの時に流れを変える役割で起用されました。でも普段からどんな点数でも、点数を意識しない事に重点をおいています。具体的には、「常に0対0」をイメージして、次自分がやることだけを考えています。今回オリンピックではピンチの時に戦況を変えることができましたが、その時も点数を意識しない気持ちがありました。あとは普段から「声を出してチームを引き上げる」意識を持っています。パリオリンピックで私は最年少でした。エースや先輩に引っ張ってもらう立場であったと思います。その中で自分にできることは何だろうと考えた時に、チームの雰囲気を盛り上げるのは得意なので、声を出して、負けていても負けている雰囲気を感じさせないようにチームを盛り上げました。

Q:0対0を意識し、声を出してチームを盛り上げる意識で試合に臨まれていたのですね。技術的に自分のやるべき事とはどんなものがあるのでしょうか。
A:
私は一番展開が早いサーブル種目での出場でした。一瞬の迷い、躊躇する瞬間があると、ポンポンポーンと連続失点してしまうことがあったりするので、そうならないためにも、前に取られてしまったポイントだったり、相手の特徴だったり、短い時間で考えて、次前に出ようとか、次後ろに下がってみようとか次自分が何をするかを考えています。

Q:迷いや躊躇はどのようにして取り除いてきましたか。
A:
私は、今まで試合でたくさん悔しい思いをして、迷いがある時に負けていると感じる瞬間が多くありました。
他のことに意識が向いている瞬間、焦りがある時は、試合も大体うまくいってなくて。それがあるので、とっさの技術的な判断は練習で鍛えて、試合の最中は自分のやるべきことに集中する。それがうまくいけば必然的に勝てている状態です。

 

フェンシングについて

尾﨑選手
🄫公益社団法人日本フェンシング協会

Q:日本のフェンシングのレベルが上がっているのは、なぜだと考えますか?
A:まず、日本は海外のヘッドコーチが指導してくれる機会があるなど素晴らしい環境があります。でも私は、何かを一気に変えて急に強くなったというよりは、今までコツコツと行ってきたことが徐々に実を結んでいるのだと思っています。

Q:試合によっては海外に行かれると思いますが、大変なことはありますか。
A:特に海外でも中東の国は時差ぼけや食事に苦労しました。
食事については、日本からレトルト食品などを持っていくことで対応しています。

Q:尾﨑選手はフェンシングを中学生のころから始めたと聞きましたが、始めたきっかけは何ですか。
A:
小学生の時は、空手とチアダンスを行っていました。ですが、中学校入学時にこの2つの部活動は無く、どの部活動に入るか迷って、フェンシング部の体験に行きました。そして体験したらフェンシングが凄く楽しくて。それがフェンシングを始めたきっかけです。
当時、空手はオリンピック種目ではなく、フェンシングはオリンピック種目にあったので、それも魅力に感じました。

Q:練習は現在どこで行っているのですか。
A:
練習はナショナルトレーニングセンターで行っています。

Q:尾﨑選手がフェンシングを続ける中で苦しかったことはありますか。
A:
フェンシングが大好きでやめたいと思ったことはないです。
好きな気持ちがあるから、ここまで続けることができたのだと思います。
オリンピックレースに入ってからは、後半で結果が出て、オリンピック選手に選ばれましたが、最初はあまり結果が出なくて。オリンピックに何としてでも出たいけど、思う様に結果がついてこない。練習で出来ていることが試合で出来ない。その時は精神的に大きな影響を受けメンタルの波に苦労することが多かったです。

Q:モチベーションが落ちた時にやっていることはありますか。
A:
絶対オリンピックに出たい!次は世界選手権がある!という目標を立てることやイメージをしっかり作っておくことでモチベーションを保っていました。また、勝利した瞬間の達成感やうれしい瞬間をイメージして練習に取り組みました。最近はモチベーションが下がることはないですが、しっかりオンオフを切り替えることが大切だと思います。

Q:今回話してみて、第一印象がすごく優しい方だと感じましたが、人間性で意識していることはありますか。
A:
特に意識していることはないです(笑)
割と穏やかな性格なのでどんな人にも当たり障りがない性格なのだと思います(笑)

Q:試合の勢いのある尾﨑選手をイメージしていたので、今日お会いして、印象が異なり驚きました。
A:
競技中とプライベートのギャップがあると周りからも言われます(笑)

Q:ギャップがあると言われるとのことですが、試合で切り替えるためのルーティンはありますか。
A:
フェンシングを始めた時から高校時代までは、大きな声を出すのが苦手でした。その頃は、フェンシング中や普段の生活もおとなしい方でした(笑)
ですが、高校の恩師が「声を出せ!」とガッツを大事にしている先生で、その影響で、声を出して試合も練習も頑張っていました。そうすると自然に気持ちも強く持てるようになってきて今では、試合の時は自然と声を出すし、審判にもアピールするし、試合に入ったら自然と声が出て、気持ちも強く持てるようになりました。
 

私生活について

Q:学生生活と新社会人生活で何か変わったことはありますか。
A:
練習環境は学生の時と変わらないです。学生のころは大学に行って午後練習するといった感じでしたが、今はフェンシングにしっかりと打ち込めています。
また、社会人になってより結果を出すことへの責任を感じています。

Q:フェンシングを応援している企業が多数ある中で、ミキハウスに入社した理由を教えてください。
A:
ミキハウスは多くのアスリートを支援している会社で、オリンピックに向けて競技に打ち込むことができると感じたので入社を志望しました。フェンシング競技は海外での試合も多く費用がかかります。特別に学生時代からミキハウスにサポートしてもらったことで、パリオリンピックに出場することができました。ご縁もあり、大学卒業のタイミングで入社することとなりました。


Q:現在オフ日は何をして過ごしていますか。
A:
その時の気分で、一日家でゆっくり過ごす事もあります。ネットフリックスやYouTubeでドラマ・動画を見る日もあれば、おいしいご飯を食べるのが好きなのでお店に友達と食べに行くこともあります。ご飯を食べることが大好きなので、それが息抜きになっています。
 

今後について

尾﨑選手

Q:それでは最後に今の目標を教えてください。
A:
パリオリンピックでは団体で銅メダルを獲得しました。うれしい結果ではある反面、個人では出場出来なかった事など、悔しい気持ちもあります。
ロサンゼルスオリンピックでは、個人・団体ともに金メダルを目標にしています。
 

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