News Release
「造形制作&彫刻メンテナンス体験ワークショップ」開催
2024年10月16日(水曜日)

10月13日(日曜日)、14日(月曜日・祝日)北区文化芸術活動拠点ココキタ(豊島5-3-13)などを会場に『造形制作&彫刻メンテナンス体験ワークショップ「彫刻の型取りとメンテナンスを体験しよう!』が開催された。
これは、プロの彫刻家・専門家からレクチャーを受けながら、テーマに沿って自由な発想で作る造形ワークショップと屋外彫刻の輝きを取り戻すメンテナンスワークショップを行うイベント。
参加者たちは、初日に北村西望の彫刻の講座から始まり、これまでの区内屋外彫刻メンテナンス活動について学んだ後、石膏と水粘土を使用した「彫刻制作」を体験。二日目にはオリジナルの石膏作品を完成させた後、実際に屋外彫刻作品を触って観察・メンテナンス体験も行った。彫刻のイロハや文化保存の大切さを学ぶ、貴重な二日間を過ごした。
本ワークショップの参加者は中学生から大人までの8名。東海大学准教授の篠原聰氏らを講師に招き、二日間にわたって開催された。
初日はココキタで篠原講師から、北村西望をはじめとする北区ゆかりの彫刻家の講座から始まり、これまでの区内屋外彫刻メンテナンス活動について学んだ後、多摩美術大学助手の高木講師による「自分の考える神様を山に見立てて制作」というテーマで彫刻制作体験をした。
二日目は、引き続きココキタで彫刻作品を完成させた後、中央公園(十条台1-2-1)にある『慈悲(赤堀信平』の屋外彫刻メンテナンスを体験。「彫刻みまもり隊みつばち」代表の高嶋講師から説明を聞き、実際に彫刻に触れて、質感や形状を楽しみながらメンテナンス作業を行い、自らの手で作品を保存していく大切さを学ぶ貴重な時間を過ごした。
まずは、彫刻作品を観察し、変色や汚れの状況、破損、変形、亀裂などがないか、また、実際に手で彫刻を押してぐらつきがないかを確認。汚れについて、高嶋講師より「黄色く変色している部分は、肉食・雑食系の鳥のフンが付着したのが原因です」と話があると、参加者らは驚いた様子であった。
次に水をかけて撥水性や水の流れを目で確認した。その後、非イオン系洗剤で、場所ごとに3~4種類のブラシを使い分けて彫刻を洗浄していく。水分や汚れが残った状態でワックスを塗ると白濁する原因となるため、時間をかけて汚れをとり、布やブロワーを使用して隅々まで丁寧に乾燥させていく。完全に乾燥した後、いよいよワックスを塗る。今回の『慈悲』のような滑らかな曲線と溝がある彫刻には、自然な光沢がでる蜜蝋を使用する。講師の高嶋氏は「作品のイメージが変わらないようにワックスを使用します。塗装を塗りなおすのではなく、彫刻が作られてから現在に至るまでの経過を楽しむのが基本です。日差しなどの影響により、1~2年で効果がなくなるので、2年くらいで更新していくのが理想です」と説明した。
最後に、光沢を出すために布で磨いていく。高嶋講師は「今回の彫刻は、木に隠れているのでわざと目立たせるように、ピカピカにしましょう。通常あまり顔を光らせると品がなくなってしまいますが、暗いところでは問題ありません」と説明。参加者は、時折光沢の状態を確認しながら作業を進めた。
全ての工程が完了し、彫刻に水をかけると、初めは全くなかったワックスによる撥水効果により、水を弾くようになっていた。生まれ変わった彫刻を見て参加者からは「作業前は悲しそうに見えたが、綺麗になってからは彫刻が感謝しているように見える」と嬉しそうに話した。
今回の体験を通じて、ワークショップの参加者らは、「今まで美術に触れることはなかったが、彫刻制作やメンテナンスに関わって、美術に対する見方が変わった」、「彫刻のメンテナンスは水でごしごし洗うイメージだった。体験をとおして、ワックスを塗ることを初めて知った」と充実した様子で話してくれた。
講師を務めた高嶋氏は、「彫刻のメンテナンスは、楽しくできることを伝えたかった。屋外彫刻は、地域の皆さんに関心が持たれないことで作品が撤去されてしまう事例が多くあります。直接撤去してほしいと意見されることもあるし、普段気にも留められていないので、危ない状態から倒れるところまでいってしまい、危険なものだとして撤去されてしまうということもある。屋外彫刻の大事なところは、区民のみなさんに愛着をもってもらうこと」と話してくれた。また、篠原氏は「私はこれで5年目になるが、徐々に定着してきている。造形ワークショップとメンテナンスを両方やるのが本当にいいと思っている。彫刻が一つの文化遺産になっているかと思いますので、ぜひそれを活用していただけたらと思う」と話してくれた。
お問い合わせ
所属課室:【その他】北区文化芸術活動拠点ココキタ
電話番号:03-6338-5711